読みたくてなかなか読めなかった、本を読むには年末年始は最適です。暖房を効かせた部屋で、コーヒーでもあれば時間は過ぎ、いつの間にか眠くなれば、時間を気にせず寝れるのも、正月読書の贅沢です。
真山仁さんの「ロッキード」は膨大な書物と、関係者にインタビューをしながら、各人の私見も交えた、ドキュメンタリーでありながら、まとめ上げた力作です。
ハードカバー600ページ渡る作品は、もし文庫本になれば2冊以上にはなってしまうでしょうが、思い切って、アマゾンで中古品を購入しました。
時の現職総理大臣、史上最やり手の総理大臣、小学校卒業学歴で総理までになった田中角栄氏が逮捕された事で、この航空機購入汚職事件は、興味が事件そのものとかけ離れ、報道され、1970年、80年に子供だった私は、事件の内容よりもその言葉の響きを強く、悪と置換え大学進学、就職を迎え、奇しくもこのロッキード事件で東京拘置所に入ったお二方と深い人脈を持ち、当の全日空、国際興業社の社風を誇らしく思い、働きました。
会社のために、刑務所に入った役員の方は社内では英雄で、このロッキード社からの賄賂だけではないにしても、巨万の富を築いた一族は事件から50年近く経った今でも、社会的地位が高く、ハワイワイキキでは、尊敬されています。
そして今となっては、トライスターであっても、ボーイング社のジャンボでもその機種を気にかけて航空機を選ぶ旅行者は少なく、この小説を物語として読んでいる自分が、別人格のような感覚も憶えます。
ただ、田中角栄氏には、その政治キャリアの最後にネガティブな印象がついてしまい、ご家族の政治生命もほぼ終焉を迎えました。
この小説は、「もう一度この司法判断が正しかったのか?」という問題提起をしていて、スリリングに進みますが、同時に子供時代から就職、ハワイ移住、目白、VIP以上のサービスを心掛けた方々を思い出しながら、ゆっくり読ませてもらいました。
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前田 (土曜日, 31 12月 2022 17:22)
真山仁先生の作品に、こんなドキュメンタリーがあったのは知りませんでした。
ロッキード事件は丸紅、全日空、自民党、国際興業社、そして右翼団体の大物フィクサーの登場もあり、確かに面白い小説になる素材ですが、そのほとんどの団体にイメージが払拭されていますね。
吉村 (月曜日, 02 1月 2023 16:14)
ロッキード事件と言えば、「記憶にございません。」の国会答弁を思い出します。
賄賂や総理大臣、企業の役員がとてつもなく偉く、50年前こそ格差社会だったのではないでしょうか。現職の総理大臣逮捕、大企業の社長逮捕から日本社会の変革の一端になった事件です。
高田 (日曜日, 08 1月 2023 12:49)
このロッキード事件は去年のオリンピック理事、汚職事件に類似しています。
ついでに安倍元総理殺害は豊田商事社長刺殺事件に似ていて、進化している日本の社会は逆回転して戦後に戻っているのです。