スティーブン・スピルバーグ監督最新作は、1956年に作られた、ロバートワイズ監督作品、アカデミー賞10部門受賞のミュージカル「ウエストサイド物語」のリメイクです。
率直に、時間が過ぎるのを早く感じる、スクリーンに没頭してしまう、スリリングなもちろん音楽、歌にも圧倒される2時間です。
スピルバーグ監督が好きなところは、こういったリメイクはもちろん、過去の名作、作家、監督達へのリスペクトが感じられるところです。本作も、音楽、ストーリー展開、セリフも可能な限り前作をなぞっており、エンドタイトルにも56年版のスタッフが全てクレジットされています。さらに、映画の終わりには「父にささげる」と出るのですが、スピルバーグ監督はお父さんには育てられていないはずなので、この場合は尊敬するロバートワイズ監督を父と呼んでいるのかもしれません。
この新作のキャストはブロードウェイの舞台俳優が多数参加しており、主役の二人も初めて映画で観ましたが、この二人は前作のナタリーウッド、ジョージチャキリスに勝るとも劣らない、少なくとも歌は(既に名作としてあるものをお手本に歌うわけですから)素晴らしいものでした。
そして、やはりスピルバーグ、絵の構図、照明、光、音楽の入れ方、古典ロミオとジュリエットとしてわかってはいても、最後の盛り上げ方は抜群です。
こうなったら、60年代、70年代の名作、特にデビットリーン監督の「アラビアのロレンス」なんかも現代版で撮ってほしいものです。
もう、いろんな形で映画、ドラマになる「ロミオとジュリエット」ですが、このスピルバーグ版を観て新たに感じた事は、近くにいる親しい人が、故意、あるいは本当に間違っても、曲がったメッセージを伝えてそれが悲劇を生むことは、実生活、人間の暮らしには起こり得る、ドラマだと思いました。
シェークスピアはそこまで思ってこの戯曲をつくったのかもしれません。 ☆☆☆★
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樫田 (水曜日, 16 2月 2022 12:19)
これよかったですか?
見ようかどうしようか、迷っていましたが、時間が早く過ぎる映画なら見て損はなさそうです。
熊水 (水曜日, 16 2月 2022 12:49)
見て損はないどころか、アカデミー作品賞、シェークスピア4大悲劇の一つ、そしてスピルバーグ監督作ですぜ!
高橋 (金曜日, 18 2月 2022 10:53)
見てきました。ミュージカルとして圧倒され、ニューヨークらしい人種雑多なドラマ、そして終盤の殺人をめぐるサスペンスまで、やっぱりスピルバーグの演出のパワーです。