半沢直樹シリーズ、3作目の原作は「ロスジェネの逆襲」というタイトルです。
ドラマはとても好評でしたが、原作はドラマのような大きな盛り上げ感はないものの、社会で働く意義について、真面目なメッセージがあり、自分も感じることが多い、世代論に回答を出しているような、読んでいて何度も頷いてしまう、読み応えのある傑作です。
我々昭和60年代に就職した世代は世にバブル世代と呼ばれ、受験では競争が激しかったものの、楽に就職は出来、大企業が大量採用する時代です。会社に入ると団塊の世代、終身雇用世代、戦後復興を支えたサラリーマン達に鍛えられたと言われています。比較的従順に会社の言うことを聞き、我慢強いとも言われます。
このロストジェネレーションは就職氷河期世代と言われ、90年代から2000年入社で企業がバブル崩壊後の不景気で採用を控え、就職が困難になり、転職も多く、やっと務めてもリストラの対象になったり、企業人事面で嫌な面を見ることが多かった世代で、必然的に体制批判をしがちです。ただ、苦しい局面をかいくぐっている経験から、頭の切れる優秀な人も多いと思われます。堀江モン世代とも言われます。
本作の中でのメッセージはすべて、主人公半沢直樹のセリフにありますが、他人が集まり、多くの世代が共存する会社組織で、確かにこの世代論、年齢が違うことをあきらめの理由、仕方ないの言い訳によく使われ、これが諸悪の根源かと思う事があります。
世代の違いで、仕方ないと思う人間が、組織をあきらめの姿勢に誘導し、戦うことをさける、自分のためだけに働き、お客様や、社会の貢献を考えずに働けば、組織そのものが甘く、堕落した団体になってしまう。
言葉では理解できても、こんなマインドを持った社員が1割でもいれば、どんなにエネルギッシュな組織になるか、ワクワクしながらこの半沢直樹シリーズを読み続けます。
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河内 (木曜日, 11 3月 2021 14:40)
ドラマは半沢の逆襲でしたが、原作は出向先の若手社員の逆襲なんですね。
吉岡 (金曜日, 12 3月 2021 08:42)
ロスジェネは、失われた10年、就職氷河期世代なんですね。池井戸潤さんの作品はいつもタイトルに一捻りあります。
toyama (土曜日, 13 3月 2021 14:03)
世代が違うから仕方ないと言って、大きな局面をつい仲のいい社員同士で片付けるケースはよくありました。戦わなくてはいい組織にはなれませんね。