久しぶりに、ロードショーで映画を観ます。昨年からずっと公開が延期になっていた「ディエゴ・マラドーナ」です。
確かに、このサッカー選手ほど一生がドキュメンタリー映画にふさわしい人もいない筈です。
ワールドカップで優勝、イタリアリーグ優勝、アルゼンチン代表チーム監督も務め、隠し子スキャンダル、マフィアと付き合い、コカイン中毒、逮捕、晩年は極度の肥満と毎年のように危篤状態が報道され、昨年亡くなりました。
実はマラドーナが世界的に有名になったのは、日本で開催されたワールドユースサッカー選手権で、78年ワールドカップでアルゼンチンが優勝直後に国立競技場で見たマラドーナの雄姿は、忘れる事は出来ない程、個人技を意識させるものでした。
そして、2度目にマラドーナを見る事が出来たのが、1994年アメリカワールドカップ、ロスアンゼルスのスタジアムでした。この大会でもマラドーナは素晴らしいプレーをしていましたが、大会中のコカイン所持により、出場停止になったハンガリー戦を観戦したのですが、スタジアムの客席にマラドーナが現れ、歓声とブーイングが入り混じった異様な雰囲気になったのを、覚えています。
日本人の自分ですら、強烈な2つの思い出があるのですから、アルゼンチン、スペイン、イタリアを始めとする世界の人達にサッカー選手がこれほど、話題を振りまいた事はありません。
映画は、ワールドカップや、イタリアリーグの映像と、彼が様々なスキャンダルを起こす、証拠映像を織り交ぜ
2面性を描きますが、ひいき目ではなく、彼が悪魔の面があったとは思えません。
薬物は違法であるにしても、サッカーしか楽しみがなかった、貧民街に生まれ育った子供が突然家を与えられ、海外の大観衆の前にさらされ、試合後にはお酒を飲んで、美女に囲まれ、マフィアが「守ってやる!!」と肩を組んできたら、、、1980年代にはそれほど多くなかった海外に巨額の移籍金で買われ、売られていくスター達はどんな未来が待っているか、予測出来なかったはずです。
もし、現在のように、プロ選手の移籍には代理人が交渉にあたり、大きなクラブチームで選手に対して、グランド外、試合後の過ごし方、後援、ファンとの接し方など教えるシステムがしっかりしていれば、このスーパースターはもっとサッカーを楽しんで、FIFAの役員になっていたかもしれません。
サッカーは奥が深く、11人のプレーヤーの中にもドリブルが上手で個人技で持ち込む選手がスターになる事が多くあります。小学校の時には、「ワールドカップの真似しちゃダメ」というコーチもいました。現在でも世界の強豪チーム、バイエルンやバルセロナ、ユベントスは凄まじい速さと、チーム全員が走り込んでパスを回すスタイルが主流ですが、その中でもメッシ、ロナウド、ムバッペのような超人的な個人技を持った選手がいます。
マラドーナは身をもって、スター選手がどう生き延びて行くべきかを、示してくれたと思いたいものです。
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遠山 (日曜日, 07 2月 2021 15:12)
元々サッカープレーヤーとしては、肥満気味でしたが、晩年は歩くのも辛そうでした。
たしかに、しっかりした代理人、マネージャー、ブレインが付いていれば、上手にお金を使って、もっと選手生命を大事にしたプレーが出来たはずです。
玉井 (日曜日, 07 2月 2021 17:51)
マラドーナがいた90年頃のナポリは、強かったです。やはり彼の力だったのでしょうか?今シーズンは復調の兆しが見えます。
君島 (日曜日, 07 2月 2021 22:18)
アルゼンチンやブラジル人の選手がヨーロッパでプレーするようになったのは、マラドーナが先駆けかもしれません。80年代はまだ、ヨーロッパのチームにはその国の代表選手が顔を揃えていました。EU制度になってから、サッカー市場も変わり、2000年代になって日本の選手も移籍が多くなりました。
若井 (月曜日, 08 2月 2021 16:54)
面白い映画でした。冒頭マラドーナがバルセロナから、ナポリ・イタリアに移籍した時、そのスピードに戸惑ったと語っていたのが、意外でした。マラドーナほどの選手がスピードをあげると、テクニックがぶれると苦労していたのですね。